安心と安全のために取るべき対策

 

◎防災計画の見直し

今回の東日本大震災で那珂市も大きな被害を受けました。自然災害が少ないというのが那珂市の自慢でしたが、今回のような広域的な原子力事故災害ではその安全神話も役に立たないことが明らかになりました。

 

那珂市には、地域防災計画があり、三つの大災害時に住民を守るために必要な手順を定めています。その三つとは、「風水害」と「地震」そして「原子力災害」です。那珂川や久慈川に面した地域等では水害が、斜面等でがけ崩れなどが想定されています。

 

原子力については、茨城県では1999年9月30日東海村で住宅地に隣接した原子力燃料工場・JCOで臨界事故が起きました。作業員2名が死亡し1名が重症、667名が被曝しました。周辺500メートルの住民に避難勧告、10キロメートルの10万世帯30万人以上が屋内退避という大事故でした。那珂市でも、農産物にとどまらず茨城県産の工業品まで風評被害で大きな損害を受けました。隣接する本米崎小学校の児童が雨の降る中、下校するということもありました。

 

しかし、その後、那珂市では全市民を対象にした本格的な原子力(発電)事故災害訓練を実施して来ませんでした。今回の震災にともない東海第二原子力発電所も津波被害も受けて緊急停止をしました。これまで以上に、原子力災害に備えるとともに、実効的な訓練を実施する必要があります。

 

◎原子力事故災害対策

今回の災害では、那珂市は、市長を先頭に職員も頑張ってきたと思います。しかし、住民の安全や安心に的確に対応する体制が取れていたとはいえないと思われます。議会も、長年原子力対策特別委員会を設置しながら、その存在はまったく見えていませんでした。原子力災害に専門的な知識を持った市役所職員は、嘱託の職員がただ一人いただけでした。したがって、国及び県からの指示待ちの状態だったといって過言ではありませんでした。そういう意味では、JCO臨界事故の際に、那珂市の動きがあまりにも遅いことに懸念を示した東海村長が、那珂市の職員を村役場に派遣するようアドバイスをした当時と変わりませんでした。

 

「備えあれば憂いなし」のことわざどおり、的確なアドバイスをすることができる危機対応と原子力災害の専門家の存在が必要でした。このような時のために、任期付一般職員や参与、顧問、調査員等の専門職員の配置が必要だったのです。市役所も議会も、残念ながら危機に充分対応できなかったと指摘されています。

  

◎子供たちを守るために

那珂市に今回起きているような、長期の低線量放射性物質が人体の健康に影響があるのは分かっています。確定的影響にはしきい値があり、確率的影響(白血病や発ガン、染色体異常など)にはしきい値がないと言われています。

 

はっきりとしていることは、大人よりは子ども、幼児が、感受性が高く、より強く影響を受けるということです。

 

したがって、子ともたちに関係する学校施設や公園、通学路等で影響を除去するとともに、健康を継続的に監視するという施策を積極的に取るべきです。後に、安全だとわかっても、「無駄なことをした」ということはないのです。